民泊の始め方

2024年6月の訪日外国人数は3,135,600人で、単月としては過去最高を記録(日本政府観光局の統計)しました。インバウンド増加によるホテル価格高騰で、民泊が再び注目されています。また、民泊の利用者は、訪日客中心だった以前と異なり、日本人が4割強を占めるなど客層も広がっているとの報道もあり、民泊需要の高まりが見込まれます。

 

そんな中で、以下の民泊のご相談をいただくことが多いです。

自宅の空き部屋を活用したい

✔相続した家を活用したい

✔賃貸物件を所有しているが、空室を活用したい

✔将来の資産形成のために、民泊をはじめたい

 

・・・でも、だれに相談したらいいの? 何から始めたらいいの?

 

民泊を始めるために何からすればいいのか、ここでは住宅宿泊事業法(通称・民泊新法)における「民泊」を中心に解説していきます。

 

目次

1.民泊の種類は3つ

 1-1.民泊(住宅宿泊事業法=通称・民泊新法)

 1-2.簡易宿所としての民泊(旅館業法)

 1-3. 特区民泊

 2.民泊新法の「民泊」をはじめる 

 2つの運営タイプ

 2-1.家主居住型

 2-2. 家主不在型

3.民泊ができる住宅の定義

4.民泊に必要な設備

5.いよいよ民泊スタート!~運営で必要なこと~

 


1.民泊の種類は3つ

民泊には、3つの種類があります。

・民泊(住宅宿泊事業法=通称・民泊新法)

・簡易宿所としての民泊

・特区民泊

 

それぞれの法律により営業ルールが異なるため、まずは、ご自身がどの法律に基づいた民泊を行いたいかを確認していくことが大事です。

   民泊     簡易宿所としての民泊        特区民泊   
 法令 住宅宿泊事業法(民泊新法)    旅館業法   詳細は自治体の条例による   
契約形態 宿泊契約 宿泊契約 賃貸借契約
行政手続 届出 許可 認定
営業日数(上限) 180日以内 制限なし 制限なし
宿泊日数(下限) 
制限なし 制限なし   2泊3日以上
居室床面積

1人当たり3.3㎡(自治体による)

1人当たり3.3㎡ 25㎡

住居専用地域

営業可 営業不可 営業不可
フロント設置 不要 条例による 不要

 

 1-1.民泊(住宅宿泊事業法=通称・民泊新法)

住宅宿泊事業法は、2018年に施行された法律で、民泊を始めるには一番ハードルが低いです。

同法では、所有する住宅(戸建住宅や分譲マンション)、賃貸アパート、賃貸マンションなどの民家を活用することが前提に考えられており、旅館業法と比べて行政手続の負担が少なく、要件が緩和されているので事業をスタートしやすいです。住居専用地域に区分される用途地域においても、営業が可能です。ただし、住宅宿泊事業法では、「1年で180日を超えて宿泊させてはならない」という制限があります。

 

1-2.簡易宿所としての民泊

旅館業法では、より大きな規模で民泊ジビネスを行いたい方におすすめで、次の3つの種別からなります。

・旅館・ホテル営業

・簡易宿所営業

・下宿営業

 

このなかで、「簡易宿所営業」が民泊に該当します。簡易宿所として民泊を運営するメリットは、宿泊日数の制限がないため大きな収益を狙える点です。一方、簡易宿所営業は、届出ではなく許可申請が必要なので、ハードルが上がります(安全措置、トイレの数、用途地域の制限、建物耐火基準他)。また、旅館業法における民泊は住居専用地域での営業はできないため、注意が必要です。

 

1-3.特区民泊

国家戦略特区法は、2014年に公布された法律です。民泊をしたいあなたの地域が、国家戦略特区であれば、都道府県知事の特定認定を受けるかたちで旅館業法の適用が除外されることにより、要件が緩和されるので営業しやすいです。

 以下の地域は、民泊新法と旅館業法に加えて「特区民泊」の認定を受ける選択肢もあります。

「東京都大田区、千葉市、新潟市、北九州市、大阪府、大阪市、八尾市、寝屋川市」

 

 詳細の規定は、各自治体の条例により異なります。

 

2.住宅宿泊事業法の「民泊」をはじめる

住宅宿泊事業法の「民泊」には、2つの運営タイプがあります。

2-1.家主居住型とは

家主居住型とは、簡単にいうとホームステイのようなイメージです。家主= 住宅宿泊事業者(民泊事業を運営するあなた)が届出住宅内に居住しながら、その住宅の一部を利用者に貸し出す場合です。具体的な規定は以下の通りで、①と②を満たす必要があります。

 

①住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と、届出住宅が、同一の建築物内もしくは、敷地内にあるとき又は隣接しているとき。

 

②届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が5以下であるとき。

 

2-2. 家主不在型とは

家主不在型とは、その名の通り、家主が民泊住宅にいない民泊をいいます。

(家主居住型に該当しない場合は、すべて家主不在型となります。)

具体的な規定は、次の①②の1つでも当てはまると家主不在型となり、「住宅宿泊管理者」の委託が必要※1になります。

 

①居室の数が5を超える。

②住宅宿泊事業者が届出住宅に人を宿泊させる間、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲を超えて不在になるとき。

 

※1:住宅宿泊管理者とは、家主に代わって届出住宅の管理を行う業者のことです。

 

3.民泊ができる住宅の定義

民泊(住宅宿泊事業法)を行うことができる住宅は、次の①と②を満たしている家屋になります。

 

①設備として、台所・浴室・トイレ・洗面設備が設けられていること

 

②人の居住の用に供されていると認められる家屋として、次のどれかに当てはまることが必要です。

・現に人の生活の本拠地としてしてされている家屋(例.家主の自宅)

・入居者の募集が行われている家屋(例.賃貸物件)

・随時その所有者、賃借人または転借人の居住の用に供されている家屋(例.相続した家、別荘等)

 

4.民泊に必要な設備

宿泊者の安全と衛生を確保するために、ざっくりですが次の設備が必要になります。

 

①居室(宿泊者が占有する部屋)の床面積は、宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保する。

②非常用照明具を設ける。

③避難経路を表示する。

④消防設備の設置(警報設備、消火設備、避難設備※2)

⑤周辺住民への事前周知(届出申請の1週間前には完了すること)

 

※2:床面積、階数によって要件が異なります。

 

上記のほか、火災その他の災害が発生した場合に、宿泊者の安全確保を図るために必要な措置として、国交省大臣が定めるもの。これらは、必要に応じて工事を行うことになります。

 

また、寝具や空調、調理器類の用意から、利用マニュアル(外国語含む)の作成等々、ガイドラインに沿って対応していくことが重要です。事前に民泊新法(住宅宿泊事業法)、消防法、建築関係法令、条例、用途地域の確認も必須です。そして、要件を満たしたら必要書類を揃え、申請書類を作成して届出申請をします。

 

5.いよいよ民泊スタート!~運営で必要なこと~

「民泊届出済証」が交付されたら、次の維持管理基準を守って、いよいよ民泊スタートです。

(管理を委託している場合は、住宅宿泊管理業者が行うことになります。)

 

①宿泊者名簿の作成

②宿泊者への利用ルールの説明

(騒音防止、ごみの処理、火災防止のための要配慮事項)
③行政への定期報告

④適切なゴミ出し

⑤リネンの交換、清掃等

 

また、あわせてAirbnbなどの民泊仲介サイトに登録して、営業を開始しましょう。

Airbnb利用の流れ: ①アカウントの作成→②ID認証→③プロフィール登録

Airbnb手数料:ゲスト(お客様)は宿泊料の約14%、ホスト(民泊事業者)宿泊料の3%をAirbnbに支払います。

 

何から始めたらいいかわからず、不安も大きいと思います。当事務所なら、届出に必要な手続をワントップ、フルサポートで代行可能です。お気軽にご相談ください→民泊 ブログはこちら